散歩道<1708>
社説21提言・日本の新戦略(20)-2・ソフトパワー・ほっとけない。もったいない。へこたれない (1)〜(3)続く
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日本は何を考え、どう行動すればいいのか。日本文化の伝統に根ざす三つの日本語を思い出しておきたい。一つめは「ほっとけない」だ。最近はNGOが、貧困対策活動の標語にこの言葉を使ったが、幕末の時代には儒学者、横井小楠は開国後の日本は「強国」ではなく、「世界の世話やき」になるべきだと言った。東に病気の子がいれば、行って看病し・・・・。これは、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の精神だ。病気、貧困、天才、戦災、人権侵害。世界のどこかに苦しんでいる人が いたら飛んでいって助ける。パソコンには、困った時押すヘルプ゚キーがあるが、そんな役割りを日本がはたせばいい。日本に相談すれば、何か、困りごとに対応する糸口を見つけてくれる。そんな「ヘルプキー国家」である。二つめは「もったいない」*1。物を粗末にせず、ゴミもなるべく出さない。自然環境を大切にする暮らしを日本人は長く続けてきた。石油ショックの後は省エネにいそしみ、地球温暖化を防ぐ京都会議の議長もつとめた。、そうした実績は世界も認めるところだ。三つめは「へこたれない」。日本語の「もったいない」を世界に広める運動をしているノーベル平和賞受賞者、ケニアのワンガリ・マータイさんは「へこたれない」という題名の日本語訳自叙伝を出した。「ほっとけない」「もったいない」を力にするには、「へこたれない」ことが大事だ。核廃絶や環境問題など、いま地球が抱える難題の解決には、並々ならぬ知恵と労力を要する。それでも、あきらめるわけには行かない。地球を守り、持続可能な発展の道を切り開くために、日本は経済力や技術力だけでなく、決してへこたれないねばり強さを示す必要がある。ソフトパワーを築くには歳月と手間がいるが、壊れる時は一瞬だということを忘れてはならない。こつこつと友好関係を積み上げたのに、多国の不信や憤りを買うような首相や政治家の言動で「魅力」をいっぺんにおとしてしまう。そんなことは、それこそ「もったいない 」
'07.5.3.朝日新聞
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