散歩道<1704>
社説21提言・日本の新戦略(17)-1・9条の歴史的意義・日本社会がつくりあげた資産 (1)〜(3)続く
9条は、戦後の平和と繁栄の基盤である。 歴史を反省する、強いメッセージでもある軍事力での問題解決には限界があり、9条の価値を発展させるべきだ
憲法9条に立つ戦後の平和主義は、最初からひとつのかたちに定まったものではなかった。焼け跡から日本を再建し、国際社会に復帰し、経済大国となる道を進む中で、私たち日本人がつくりあげ、定着させてきたものである。経済大国 が施行 された60年、日本は米国を中心とする連合国軍に占領されていた、かっての帝国陸海軍はもはや存在しないその意味では、9条は実質的には「敵国」日本の武装解除でもあり、現に軍隊が存在しないことの追認でもあった。といえよう。また、今日多くの歴史学者の研究が明らかにしているように、昭和天皇の戦犯訴追を免れるためにも、軍国主義復活の可能性を封じる9条を盛り込んだ憲法を急いでつくる政治的必要性があった。なるほど、憲法9条の出発点では、このようにさまざまな思惑や駆け引きがあった。だが、その後の日本社会の歩みを通じて、この9条を軸にして平和主義という新たな資産を作り上げてきたのである。
'07.5.3.朝日新聞