散歩道<1698>
社説21提言・日本の新戦略(2)-1・気候の安全保障・「キョート」を地球保全の原点とする (1)〜(3)続く
地球の平均気温上昇を2度以下に抑える 省資源社会を日本で実践し、世界に広める 環境ビジネスの魅了を高め、米国や中国も温暖化防止に引き込む
葵祭り近い5月の京都、新緑に包まれた都大路を各国首脳の車が走る。どれもガソリンなしのエコーカー。京都議定書発効10年を記念する地球環境サミットだ・・・こんな2015年を思い描きながら、温暖化防止を戦略の中心におくことを提言したい。日本は戦争の深い反省、広島、長崎の被爆体験から、平和を希求する戦後の歩みを踏み出した。「ヒロシマ」は戦後日本の原点でもある。同様に、21世紀日本の原点をこの議定書に置こう。「キョート」を、100年をかけた地球保全の出発点とすべきだ。冷戦後、地球環境はっこくさい政治んお主要な議題になってきた。今日では「気候の安全保障」という言葉も聞かれる。なぜ、安全保障なのか。世界の科学者で作る「気候変動に関する政府間パネル」の部会報告では、石油などの化石エネルギーに依存する高成長社会が続けば、今世紀の地球は20世紀末より4度ほど暖かくなる。4度高くなると、どうなるか。地球の広い地域で深刻な水不足が起こり、穀物生産は減少する。生物種の4割以上が絶滅する。生態系が壊れ、感染症の分布地図が変わるなど、想像を超えた異変のリスクも高まる。お金に換算しても損害は甚大だ。英政府の「スターン報告」は、5〜6度の気温上昇で世界の国内総生産は平均5〜10%
損失をこうむると見積もる。さまざまな格差や対立が先鋭化し、地球全体が大混乱に陥りかねない。すさまじい脅威がそこまで迫っている、それからどう人々の安全を守るか。子や孫を守るか。戦争や核の脅威と同様、まさに安全保障の主要課題だ。・・・
'07.5.3.朝日新聞