散歩道<1693>

                       社説・憲法60年(1)・戦後からの脱却より発展を            (1)〜(4)続く

 日本国憲法はあす、満60歳になる。60回目の記念日を迎える環境は,これまでとはだいぶ違う。時の安倍首相が「改憲を政治日程に乗せる」と名言し、7月の参議院選挙では争点にしたいと意気込んでいるからだ。
 そのための手続き法である国民投票法案が、まもなく国会で成立する運びだ。これだけ空気がざわめくのは初めてのことだろう。  
 なぜ憲法改正が必要なのか。安倍氏は雄弁に語ってきた。そのポイントは次のようなものだ。


祖父譲りの改憲論
 いまの憲法は占領時代に、GHQ(連合国総司令部)の素人が短期間で書き上げ、日本に押し付けたものだ。時代は移り、9条など現実にそぐわない条文も出てきた。国の基本法である憲法を国民自らの手で白地から書くというのが決意と精神によって、この国に改憲の気概がみなぎって来る。そうすることで精神的に占領を終わらせることになる・・・・・
 占領時代とか、GHQ の押し付けとか、今の若者にはぴんと来ない表現だろう。それもそのはずだ。こうした論法は、首相が尊敬してやまない祖父、日米開戦時の閣僚だった岸信介元首相らが半世紀も前に言っていたことだった。「占領の後遺症の根絶」「真の独立の開封」などがキーワードだった。
 そもそも敗戦や米軍による占領への屈辱感が根底にあったに違いない。だが、憲法が出来て年月がたつうちに、攻撃の対象は「押し付け憲法」「占領」から、それに基づいて形づくられた戦後日本の歩みそのものもむかざるを得なくなる。
 

'07.5.2.朝日新聞