散歩道<1682>
経済気象台(144)・命運握る競争力政策
今や企業と国が同時に国際競争力を競う時代になった。その中心は、世界を変えるイノベーション力、収益のあがるビジネスモデル、優れた製品開発、知財、販売戦略、新市場創造とそれを実現する人材の育成である。企業はその競争の真っ只中にあるが、国家もまたグローバル競争を生き抜く政策を確実に実施できるかどうかに命運がかかっている。米国では民間の競争力委員会や議会諮問機関のナショナルアカデミーズ、業界団体、シンクタンク、有力議員が競って政策提言を行っており、それらは国家予算や法案となって議会に提出され、成立すれば全米科学財団などの研究開発予算や税制改正、教育制度改革として実施に移される。また各州でも競って研究開発・起業家支援、人材育成などを行っている。つまり、米国では連邦政府は基礎研究の充実、税制改正、知財権保護等の環境整備によって、また、州政府は企業誘致、産業クラスター形成、教育の充実によって効率的な分業を行っているのである。中国では、国際競争力強化というより持続的な経済社会の発展という観点から5ヵ年計画の中にR&D投資、先端技術開発などを盛り込み、国家中長期科学技術発展計画ではイノベーションを通じた科学技術の飛躍的発展を目指し、また、人材強国戦略として、大学教育改革、海外の研究者、留学生の回帰、創業支援や税制、行政・金融改革を行い、成長一辺倒ではない調和した経済社会の発展を目指し始めている。このように、米国はそれぞれの目指し提案者や各州が競い合うメカニズムで、中国は政府の指導で持続的かつ強力に国際競争力強化につとめている。翻ってわが国の場合を考えてみると、米国や中国とも異なり、制人を持つ主体が不在のまま政策・ビジョンのみが選考しているように思われ、政策の力強さと確実性、迅速性に不安を覚えるのである。