散歩道<1680>

                      経済気象台(142) ローン・日米バブル事情

 長年、経営の第1線で陣頭指揮をとってこられた、名物経営者の話を思い出した。1980年代後半のバブル期の様子に話が及んだときのことである。「あの時、これはいかんと思ったものは、銀行が『お金を借りてください』と頼みにきた時だ。お金の借り手は受け身に徹することが原則だ。積極的に「貸し』にいってはいけない、土地や株式を媒介にして、積極的な「貸手」と勇敢な「借り手」が出会うとバブルが発生し、膨張する。当時の銀行は日銀の窓口指導により多額の貸し出しを迫られ、じゃぶじゃぶの金融緩和状態だった。企業の多くは内外の不動産を買いまくり、また財テクの名の下に株式を買い上がって、国を挙げての熱狂的なバブルとなった。目を米国に転じると、異常ともいえる低金利によって住宅バブルとなり、膨張している。過去、循環的な動きを見せていた米国の住宅投資は、90年代初めから右型上がりに増加し、家計部門が抱える負債も同様に増えているからだ。ここ10年の間にサブプライムローンといわれる住宅ローンが、突出して伸びていることも住宅投資を後押ししている。新規ローンの20%も占める勢いだそうだ。これは、信用履歴に瑕疵(かし)がり、所得が安定せず、その水準も低い借り手に対する住宅ローンである。不良さ危険になる一歩手前といえそうな、信用リスクが非常んい高い借り手ということだ。金融機関がこうした借り手に対しても、積極的に「貸し」に行くことができたのは、貸せば貸すほど住宅価格が値上がりしてきたからだ。とどのつまりは、住宅を売却すればローンは完済される、という読みである。しかし、この住宅バブルの膨張も息切れ状態のようだ。米国の住宅と住宅に付随する家計消費が世界経済を牽引してきただけに、その影響が懸念される。

'07.3.3.朝日新聞