散歩道<1654>   

                  時流持論(4)・
筋目の日本外交に4提言                   (1)〜(4)続く

 第二に、安全保障政策についてである。今日、集団的自衛権の憲法解釈が行われた時代と安全保障環境は大きく異なる。私は早急に解釈の見直しを行い、集団的自衛権を行使しうる場合を法定していくべきだと思う。第三に能動的外交である。今日、東アジアの最大の課題は、永続的な平和のための新しい秩序の構築である。日本は中国、韓国との大きな関係調整を進め、北朝鮮問題で結果を作る外交を行わねばならない。そして東アジア共同体に向けた青写真を提案していく必要があるだろう。第四に、国内体制の強化である。外交を支える知的基盤が明らかに不十分である。過去1年間の経験でも、国際的なセミナーなどに米国や中国からは数多くの有識者が出席しているのに、日本からは私だけということが度々あった。民間機関の活動を支える政府や民間の資金はどんどん減っている。知的活動にたいして十分な資金を使うことなくして良質な国家は成り立たない。ジャカルタ暴動から33年がたち、私は還暦を迎えた。日本の外交上の選択がますます複雑になっていくという意味で、これからの時代のほうがもっと多難であるような気がしてならない。私は現在、東京大学公共政策大学院で教壇に立っているが、外交にその職を求めていく多くの学生に対して、私の経験とともに、外交は多くの国を巻き込むわけだから単視眼的であってはならず、歴史観と大局観がなければならにことを説いている。

’07.1.15.朝日新聞・日本国際交流センターシニアフェロー・田中 均

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