散歩道<1640>

                       イラク4年(1)・過ちから何を学ぶか                 (1)〜(2)続く

 あの日から、今日で4年たった。世界の不安や反対の声を押し切って、米英軍がイラクの攻撃に踏み切った日のことだ。その結果はどうだったか。イラクや世界が安全になったと考える人はどこにもいない。この失敗がもたらした、途方もない損失の大きさに呆然とせざるを得ない。開戦前に、国連安保理で軍事行動の必要性を訴えた米国前国務長官は「人生の汚点だった」と回顧した。あやふやな情報で国際社会を説得する役を演じたことへの悔悟の念だろう。ブッシュ政権の路線を主導したといわれるネオコン主義者たち。その論客フランシス・フクシマ氏は『9・11』をイラクと結びつけたことが詐欺だ」と後に語り、自ら転向を宣言した。フセイン独裁政権が大量破壊兵器を手にすれば、世界にとって危険極まりない。それを防ぐためには軍事行動もやむおう得ない。当時、そんな危機感があったのは確かだ。だが、4年後のイラクは内戦状態にある。対立するシーア派とスンニ派の殺し合いは激しくなる一方で、国内外への避難民は約390万人に達した。戦争に至るまで、つくすべき手立てを尽くしていなかった。戦後への見通しも甘かった。何よりも、イスラム社会も含めて国際社会の結束を実現できなかった。結果論だといってかたずけるられない重い教訓を噛みしめる必要がある。
 

'07.3.20.朝日新聞

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