散歩道<1631>
鶴見俊輔さんと語る(1)・心に届かぬ言葉横行 対談相手・詩人アーサー・ビナードさん
(1)〜(4)続く
言霊の幸(さき)はふ国、と万葉集にうたわれたが、言葉にやどる霊力はもはやどこかにいってしまったようだ。心に届かない言葉が
はびこるなか、鶴見さんは在日16年の米国詩人、アーサー・ビナードさんと日本語の変化や社会とのかかわりを話し合った。
「国益」は一部の人の利益のためにみんなをこき使う口実 (ビナード) 言葉への無理解が日本の政治にすごく影響している。(鶴見)
鶴見 「国家のためにがんばってください」と子供のころに聞いて、変な言葉だなとおもっていた。15歳でアメリカにいって、これを英悟でいうとものすごく変なんだ。国家と社会は対等の言葉ではないのだから。動物にも社会があるが、国家はない言葉を使う前提となる理解を欠いたまま言葉を使い続けていることが、日本の政治にすごく影響している。国家の形成より先に社会はすでにあり、国家の中にいくつも社会はあるのに、社会をつぶして何でも国家本位になると思っている。これが日本のインテリの伝統になっている。
ビナード ぼくは国益という言葉があやしくて、引っかかるんですね。「日本の国益」は90年代の終わりからようやく聞くようになったが、アメリカではもっと早く、軍産複合体が国を動かすようになったあたりから何かにつけ「国益のため」と言う様になった。しかしふたを開けてみれば、「一部の人の利益の為にみんなをこき使う口実が国益だ。幻想にすぎません。
'07.1.30.朝日新聞・鶴見俊輔さんと語る・詩人アーサー・ビナードさん
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