散歩道<1619>

               私の視点・「からだ」考・自分自身との関係しろう(2)             (1)〜(2)続く

 学生には好評で、ストレッチは、「細胞への直接の働きかけであること」を知り、個人にあった適切な走る速度を見つける。そして、いのちや夢を支えるのは「からだへの働きかけ」だと理解する。
 うつ気味の学生からは「こころのストレッチ」、小中高の授業と比べた学生からは、「人生12年目の快挙」との言葉が返ってきた。考える対象ではなかった「からだ」を改めて見直すことで、学生たちは「からだ」を有効活用する視点を得、「からだ」を起点にした気づきが生まれ、他の教科の学習の必要性を理解する。
 日本人は1928年に導入された「ラジオ体操」で「からだ」を動かし方を学んで以来、体育は体を動かすことだと誤解してしまった。「ことば」の獲得と活用の能力とは無関係であるように、からだが動くことと、体を生かすことの理解は別である。
 カナダで起こった「リテラシー運動」が90年代前半に日本に入ってきた。紙媒体に並んだ文字が読めるだけでなく、メディアの機能、メディアの利用の背景を理解し、独立した一人格として社会にかかわろうという考え方だ。
「からだ」に関しても同様の変革が必要である。「からだ」を動かせるだけでなく、「からだ」の活用方法、仕組みなどを理解する「からだリテラシー教育」の発想である。
 学校体育に求められているのは、家庭でも、地域社会でも教えられない本質的な「いのちそのもの、からだ」と「自分」の関係性の理解だ。先端科学=情報・生命・脳科学=と「からだ」の共通の「ことば」を見つけ出す必要がある。

'07.3.7.朝日新聞・東京大学(身体運動科学)跡見 順子(よりこ)さん   

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