散歩道<1617>
窓・論説委員から・もうひとつの選択肢
競争社会を否定はしないが、強者・勝ち組が敗者・負け組みにいたわりの心を持つ社会に戻さなければ・・・・・・。
川崎二郎・前厚生労働相がこんな前書きで始まる本を出版した。題して「このまま『アメリカ型』社会を目指して本当に幸せになれるのか?」。
書面から分かるように、小泉政権から続く米国流の新自由主義的な政策を批判。規制緩和、企業減税、競争力の強化など安倍政権がすすめる一連の成長優先政策も、「悪い面は思い切って転換すべきだ」と提案している。自民党の中から、公然と「もう一つの選択肢」が出てきたことに注目したい。川崎氏は小泉政権時代の厚労相だ。その体験にもとづく批判はそれなりの説得力を持つ。
○米国流の競争政策の結果,正社員は長時間労働、非正社員は低賃金と二極に分解した。その結果、安心して子供も産めない社会になり、人口減少が進む。
○米国よりも、人口減に悩(なや)みながら経済を成長させているヨーロッパをお手本にした方がいい。1人あたりの分配を増やし、内需拡大の成長を目指すべきだ。
○高齢者を多く抱える日本に「小さすぎる政府」は非現実的だ、厚労相時代に社会保障の削減(さくげん)をすすめたが、もう無理。消費税の引き上げは避けて通れない。
格差の弊害がめだつなか、議論の盛り上がりに期待したい。それにしても、こういう骨太な提案が民主党から出てこないのはどうしたことか。
'07.4.4.朝日新聞
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