散歩道<1615>
私の視点・医学生へ・医学を選んだ君に問う(1) (1)〜(2)続く
医師を目指す君に問う。高校時代にどの教科が好きだったのか?物理学に魅せられたのかも知れない、英語が得意だったのかもしれない。しかし医学が大好きだったことはあり得ない。日本国中で医学を教える高校はないからだ。高校時代に物理学または英語が大好きだったら、なぜ理学部物理学科や文学部英語学科に進学しなかったのか?物理学に魅せられたのなら、物理学科での授業は面白いに違いない。
君自身が医学を好むか嫌いかを度外視して、医学を専攻した事実を受容せねばならない。結論を急ぐ。授業が面白くないと言って、授業をサボることは許されない 。医学が君にとって面白いか否か全く分からないのに、別の理由(動機)で医学を選んだのは君自身の責任である。
次に君に問う。人前で堂々と医学を選らんだ理由を言えるか?万一「将来、経済的社会的に恵まれそう」以外の本音の理由が想定できないなら、君はダンテの「神曲」を読破せねばならない。それが出来ないなら早々に転学すべきである。
さらに問う。奉仕と犠牲の精神はあるか?医師の仕事は」テレビドラマのような格好いいものではない。重症患者のため連夜の泊まり込み、急患のため休日の予定の突然の取り消しなど日常茶飯事だ。死に至る病に泣く患者の心に君は添えるか
君に強く求める。医師の知識不足はゆるされない。知識不足のまま医師になると、罪のない患者を死なす。知らない病名の診断は不可能だ。知らない治療を出来るはずはない。そして自責の念がないままに「あらゆる手を尽くしましたが、残念でした」と言って恥じない。こんな医師になりたくないなら、「よく学び、よく遊び」は許されない。医学生は「よく学び、よく学び」しかないと覚悟せねばならない。
'02.4.16.朝日新聞・前金沢大学付属病院院長・河崎一夫氏
関連記事:散歩道<1398>コストハラ?、<1401>鶴見俊輔さんと語る・医師・中村哲さん、<1572>鶴見俊輔さんと語る・医師・徳永進さん、<1612>面白い話・麻雀?、<1615>私の視点・医学生へ・医学を選んだ君に問う