散歩道<1602>
ディベート経済・グロバル化と格差の関係は(6) (1)〜(6)続く
金融技術の進歩で、問題解決を
資金を持っている人は資金を借りて事業を拡大できるので、ますます豊かになれる。一方、担保となる資産を持たない貧しい人は借金ができず、事業を拡大することもできないので貧しいままだ。つまり、借り手と貸手の間の情報が非対称なために、融資に担保が必要になり、そのために担保資産を持つ人と持たない人の格差が拡大していくのである。米国内の富の偏在は、このメカニズムでかなり説明できる。また、金融資本市場のグローバル化が諸国間の経済較差を拡大させるメカニズムも、同じ原因から説明できる可能性があるのだという。だとすると、金融技術の進歩によって担保金融を脱却できれば、市場経済の中で較差が広がらないようにできるのではないか。昨年のノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏のマイクロハイナンス(貧困層への無担保融資の仕組み)は、まさにその可能性を示している。日本での企業再生ファンドの活性化も、担保から脱却した新らしい金融の仕組みへの動きとも解釈できる。技術進歩によって格差が是正されることを目指して、忍耐強く市場経済を改善する努力を積み重ねることが需要だ。
'07.3.26.朝日新聞・本社客員論説委員・小林慶一郎氏
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