散歩道<1600>
ディベート経済・グロバル化と格差の関係は(4) (1)〜(6)続く
伝統くずれ、社会が混乱
現在、南米のベネズエラで社会主義的な独裁化が進んでいるのも、経済発展の利得が支配層と一般国民の間で平等に分配されないことが原因だろう。しかしこれらの失敗は、民族や政治構造に存在する問題がそもそもの原因であり、社会が市場経済化に対応する過程で問題が増幅されたのだといえる。もう一つの問題は、グローバル化は本質的に勝ち組と負け組みの格差を拡大する傾向があるように見えることだ。世界経済全体で見ると経済成長は続いているが、その果実はほとんど富裕な先進国や新興市場に偏在し、成長から取り残される最貧国も多い。先進国の中でも、途上国との国際競争にさらされる低賃金労働者と高所得層との格差は開いている。米国の90年代以降の生産性増加の効果は、すべて富裕層の所得に吸収されたという研究もある。一般国民の労働所得は、経済成長の恩恵を受けていないことになる。こうした実態を受けて、企業の経営者層があまりにも巨額な報酬を得ていることについて、米国の世論の批判も高まっている。
'07.3.26.朝日新聞・本社客員論説委員・小林慶一郎氏
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