散歩道<1554>

                      歴史と向き合う・被害と加害意識の変遷(3)           (1)〜(5)続
            善悪二元論の裁断やめ 国際的な対話に向けて 「複雑な現実」直視せよ                   

○ ○ 

・・・・なぜそうなってしまったのでしょうか。「新左翼運動の若者たちは戦後生まれで、戦争の被害がなかった。だから、被害者だからこそ加害者になるという実感がわからない。また彼らは年長者から、戦争体験もないくせに甘えて反抗していると批判されることが多かった。そうしたかれらが年長者への一番簡単な反論方法として発見したのが『あなた方はアジアを侵略した加害者じゃないか』という論法だったという面があった」
 「こうした展開は小田の予想外でした。彼はこう書いています。『私が立論の前提にしていた被害者体験をけ飛ばすようにして加害者責任を追及するというせっかちで思い上がったことをやってのける若者が出てきたりするようになった。若者は広島の平和集会で重い口をようやく開いてとつとつと自分の被爆体験を語り始めた年老いた女性をさえぎって、「あなたの体験のことはもうみんなが知っていることだ。そんなことより問題はあなたが自分が加害者だった事実をどれだけ認識されているかだ」と居丈高に言ってのけた」。小田は『この場面を正視できなかった』そうです(随筆『日本人の精神』)

'07.2.27.朝日新聞・慶応大学助教授・小熊英二氏