散歩道<1548>

                               歴史と向き合う・過去を克服するために(3)               (1)〜(5)続く
                       理想と現実の差、課題 米も内外で違う姿勢 まず負の遺産直視を

歴史には幾つもの分岐点がある。ニューヨークでツインタワーが崩れ落ちて6年。「テロとの戦い」を続ける米国はいま、イラク戦争の混迷の中にある。負の連鎖と日本も例外ではないナシヨナリズムの高揚と。難しさを増す一方にも見える過去の克服に向け、保つべきは何か。米国の歴史学者に聞いた。

・・・・・歴史を振り返れば、米国も又負の遺産を幾つも抱えています。その歴史と向き合い、乗り越えようとする力が、以前より衰えてきているのではないでしょうか。「この米国で起きた問題の処理の仕方と、そして外国で起きたこと・・・・国外での戦争についてのそれとはかなり違います。国内では先住民に対して虐殺に近いことをし、奴隷をつれてきて国を作り上げ、第2次大戦時には日系アメリカ人を収容所に入れました。そのような負の遺産に対しては、時間がかかったにせよ1つ1つについて否定せずに認めてきた経緯があります」「アフリカ系アメリカ人に賠償を払うべきかどうかについては議論がありますが、それでも市民権に関しては、かってのような差別をかなりの程度なくしてきた。先住民とのさまざまな問題も、なお残ってはいますが改善されてきたし、日系アメリカ人には賠償しています。それらを考えると、米国にはそういう力は確かにありますが、一方で原爆投下やベトナム戦争などについては同じ姿勢ではありません。海外でしたことに対しては正面から向き合ってきたとは言えないところがある」
 「今のイラク戦争は将来、どう記録されるでしょうか。ブッシュ政権が取った行動はかなり厳しく評価されると思いますが、ではそのとき、政府あるいは米国社会がどう向き合おうとするのか。意見は分かれるだろし、なかなか合意が得られないものだとは思います」 

'07.3.1.朝日新聞・歴史学者・ハーバード大学教授・アンドルー・ゴードン氏