散歩道<1549>

                               歴史と向き合う・過去を克服するために(4)               (1)〜(5)続く
                       理想と現実の差、課題 米も内外で違う姿勢 まず負の遺産直視を

・・・・米国は「忠誠の誓い」という儀式が学校でも広く行われています。米国の愛国主義にどんな役割を果たしているのでしょう。「面白いのは、『忠誠の誓い』が普及した時期と、明治時代に教育勅語が普及した時期がほぼ同じなんです。そのころは両国ともに、国民国家を造らなければならない、「国民」意識を生まなけばならないという課題を抱えていた。米国の場合は『忠誠の誓い』ですが、それを唱えてきた人たちがみんな国家を重んじる人間になったかといえば、そうでもない」 
 「愛国心について柱意深くあるべきだと思うのは、『我々の意見と違うことを言うのは愛国心のない人間だ』ということになりがちです。ベトナム戦争のときは、米国にもそういう雰囲気があった。「正しかろうが間違っていようがわが祖国」とか、『イヤなら米国からでていけ』という表現がありました。イラク戦争をめぐっては、そこまで至っていないとおもいますが、戦時中の日本にも似たような状況がありました。再びそうなってほしくありません」
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・・・・近著の「日本の200年」では、日本は特殊な国ではないということが随所で強調されていますね。「これまで日本で起きた現象にいついて、他の国々とまったく同じではないものの、同じ歌の変奏曲のように書こうとしたのです。米国も欧州も、あるいはアジアの他の国も、似たような問題を抱えてきたわけですから。さまざまな人たちに、どうやって国民意識というものを共有させるか。そうした世界的な歴史の過程における日本のバリエーションであって、他国と違う点はあるにせよ、日本がひどく変わった例なのかといえば全然そうではない。たとえば明治期の「上からの革命」は特殊というほどのことではなく、同様の変革の例はトルコ、旧帝ロシアなど他にもある。そのように日本を相対化しようという試みです。

'07.3.1.朝日新聞・歴史学者・ハーバード大学教授・アンドルー・ゴードン氏