散歩道<1545> (1)〜(5)
鶴見俊輔さんと語る(5)・核と戦後民主主義
鶴見 戦後GHQが憲法を起草したとき、「オール・ナチュラル・パーソンズ(すべての自然人)」という文言が提案された。人はすべて差別されてはならない。ここに未来への指針がある。
妻 日本も朝鮮半島も近代の始まりには混沌としたエネルギーがあったはずだ。それなのに朝鮮史は敗北の歴史じゃないかと思ってつらかった。しかし、70年代に独裁政権下の韓国を旅行し、学生たちがいう「民主主義」が日本とは違う重みを持っていると感じた。今は憲法を生かさずして何を生かすかと思う。私は素朴に、朝鮮半島の人とこの列島に住む人が仲良くできる風景を見たい。そのための方便として政治がある。それなのに政治が国家のたがをはめられて身動きできない。政治が少しでも変わればと思ってコミットしている。だが、自分の時代にかわるかどうか。
鶴見 在日の目は、近代日本史にとってのキーポイントだ。また、被爆した日本人の目は世界史の中でキーポイントになる。確かに先は長いが、努力しないでいいのか。一歩踏み出すしかないんじゃないか。
'06.10.24.朝日新聞・鶴見俊輔さんと政治学者・妻尚中さんが語る
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