散歩道<1523>

                   社説・地球温暖化対策・科学者が背中を押した(2)             (1)〜(2)続く

 温暖化対策は今、曲がり角にある。先進国に温室効果ガスの排出削減を課す京都議定書から、米ブッシュ政権は離脱したままだ。議定書で定めた期間は08年から始まる。日本は12年までに90年より6%減らさなければならないが、05年度は逆に8.1%も増えていた。一方、米国では独自に削減策を作る動きが盛んだ。民主党が多数派となった連邦議会にも変化の兆しがある。今回の報告書は、これらの動きを後押しする。日本政府や産業界も、この潮目を見据える必要がある。もちろん、気温が大幅に上昇するという予測に対し、「スーパーコンピューターを使う気候学はまだはじまったばかり」と、過信を戒める専門家がいる。複雑さをはらむ地球環境では、予想外のことも起りやすい。予想地に引きずられすぎるのは禁物だろう。大切なのは、地球環境のデーター集計を地道に続けることだ。今回の報告書では、90年の第1次報告書以来の気温上昇の予想が実測値とほぼあっていることを示し、「短期予測には自信を深めた」としている。検証を積み重ねることで、予想の制度も上がる。いま確実に言えるのは、温暖化の犯人とほぼ認定されたCO2が増え続けていることだ。大気中の濃度は産業革命前の1.35倍になる。工業化社会がもたらした負の遺産を減らしていきたい。脱温暖化社会の設計に皆なで取りかかる時である。

'07.2.3.朝日新聞

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