散歩道<1503>

                   経済気象台(127)・アジアメーカー発展の鍵

 昨年12月末、ダイムラークライスラーは中国の民営自動車メーカー奇瑞汽車と小型自動車分野での提携に合意した。これまでの提携といえば世界的なメーカーによる技術供与が主流だったが、早ければ2年以内に、米国ブランドの中国製乗用車が世界中で販売されることになるだろう。今年はアジアをめぐる、こうした自動車メーカー間の提携が活発化しそうだ。アジアで蓄積された能力の活用やアジアメーカーを対等のパートナーとして、ともに事業拡大を目指す方向への転換が進むことが予想される。だが、それがそのままアジアメーカーの発展につながるかは予断を許さない。アジアの独立系自動車メーカーの事業基盤はまだまだ弱いからだ。マレーシアの国民車メーカー、プロトンは2000年代初頭に自国での支配的シエアを背景に独自製品を開発したが、販売不振からシエアが急落。06年には市場縮小の影響で収益が悪化、改めて世界メーカーからの製品導入を目指している。アジアの独立系メーカーに重要なのは、もちろん自国市場の成長と自社製品の販売拡大だが、それ以上に大切なのが自信の持てる独自製品の獲得だ。タダでさえ車種が少ないなか、独自開発をあきらめれば、メーカーとしての生き残りを放棄することにつながる。何度か失敗しても、基盤となる製品があれば、立ち戻ることは出来る。一旦努力を放棄するとどうなるか・・・・・。90年代の米ビッグ3に見ることができる。「高品質で低価格の小型車を開発・生産できない」と、小型車開発能力の獲得をあきらめた結果、日本や韓国メーカー台頭を招き、自社製品競争力の低下につながった。アジアでは貿易自由化に伴い、高度な生産・開発能力が求められている。アジアメーカーの発展の鍵は自信を持てる独自製品をもてるかどうかにあるといえよう。

'07.1.12.朝日新聞