散歩道<1496>
私の視点・若者へ・本来もつ魅力を磨いて(1) (1)〜(2)続く
僕はこれまで、約400人の人物を演じてきた。シチュエーションを考えれば、人数と同じ数の職種を演じてきたと言い換えてもいいかもしれない。演じる楽しみは、異国でも変らない。海外公演を始めたのは93年、ニューョークが最初だった。以来13年間、必ず1年に一度は海外のどこかしらを訪れ、公演して帰ってくる。数百の人の集まりでも「沈黙が語るもの」「一人の人間が舞台に立っているのを見つめる行為」には。それだけで言葉を超え、次の何かしらを生む力を秘めている。こうした公演を支えてくれているのが、我がスタッフだ。勉強嫌いで不登校だった者や、正規に勤めるのを拒否するフリーターの集まりである。日本では確かに雇用不安や賃金格差が広がっているかも知れない。だが、ニートやフリーターであることはかならずしも悲観することではないと、僕は思う。彼等は彼等なりに、自分のライフスタイルを必死に探しているからだ。映画「太陽」を撮ったロシアのソクローフ監督が我がオフイスを訪ねた時、こんな話をされた。「日本は大好きなのに、若者を見て悲しい気持ちになることがある。しかし、このオフイスで働いている若者の顔を見て、皆様を私の映画に出したいと感じている」。態度のよろしくないスタッフを一人ひとり指し示しながら素晴らしいと、気に入ってくださったのだ。
'07.1.3.朝日新聞・俳優・イッセー尾形
備考:'08.4.2.朝日新聞、京都造形芸術大はイッセー尾形さん、ジャーナリスト高野猛氏を客員教授に、タレントの松尾貴史さんを芸術学部映画学科准教授に就任することになったと発表。