散歩道<1495>

                     私の視点・憲法60年・明るい年にしていくために(2)              (1)〜(2)続く

 戦死者ゼロ、福祉国家を目指した元憲法下の実績の否認がはじまろうとしている。さらにこの反動的選択は、同盟国アメリカの要望への答えであること。命をさしだすだけでなく、アメリカの膨大な軍事費への助っ人の一面を持つことをかくさない。大国の誇りにこだわりながら、この国の政治家たちは、従属の現実を無視する。そのアメリカは、イラク侵略の泥沼にあえぎ、まさにもてあましている。小泉前首相はイラク出兵を即断しながら、責任をとらずに退陣、安倍内閣はその政治路線の具体化に忙しい。国内の民情悪化とその疲弊は避けがたくなった。選挙で議席を失えば、政治家はタダの人。確実に政治は変る。政治のあまりにの悪さ、露骨さに、危機感をもつ市民が全国に生まれた。もうこれ以上の逆コースは認めない。悪法は押し返し、憲法本来の国に戻ろうという市民の意志。悪政はおとなしい市民たちを揺さぶり、無視できない運動を拡大しつつある。希望のタネ、希望の灯は、市民運動によって守られる。市民は自衛する。武器なきたたかいだ。考えて思慮を深め、おのれの一人の思いからはじめて、同じ思いの人とつながる発信。負けることのできない、あやうい政治の動きになお、希望を持ち続ける熱源は、一人ひとりの心、決意にこそかかっている。「憲法を泣かせるな」を、施行60年目にあたる今年の合い言葉にしよう。歴史の犠牲となった死者たちを生かす道は、私たちの掌中にある。いかに状況が錯綜し(さくそう)、本質をかくしても、二人の文学者の言葉は、本質を見抜く鍵、真理として私たちを支えている

'07.1.4.朝日新聞・作家・澤地 久枝さん