散歩道<1492>
私の視点・アジア太平洋・日米中、連携の時代(3) (1)〜(3)続く
軍事的な絶対強者であっても、多元的な世界の文化と政治までは支配できない。イラクの統治につまずいて、ブッシュ政権は昨秋の選挙に破れた。「やり直し」を命ずることが出来るのが米国社会の強みであり、今後の米政府は復元力を働かせることになろう。とはいえ21世紀の世界を立て直すことは簡単ではない。イラク一国でも難しいのに、ほころんだ核不拡散体制と、格差の広がりすぎた国際経済体制の再編という大問題がある。加えて東アジア危機である。
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東アジアでは安倍普三政権の誕生とともに日中・日韓の首脳会談が行なわれ、主要国の正常化がなされた。冷戦後の内向き政治の季節から復元は望ましい。しかし東アジアには依然二つの問題が残存する。一つは、東アジアの経済発展から取り残され、核とミサイルをかざし荒れる北朝鮮をどう治めるかである。二つは経済発展に成功をとげて巨人となった中国が、現存秩序との間に、どんな関係を設定するかである。前者が当面の急務であり、後者は文明史的な長期問題である。「中国と文明国家」が21世紀の主要問題となろう。日本外交は米国と中国を逃さず、日米同盟と日中協商を両輪とせねばならない。東アジアでのあり方をめぐり日中は共同議長をつとめるべきである。視界を広げてアジア太平洋の国際秩序を考えるなら、日米中の3国が主要問題につき協議し了解をつくる枠組みが不可欠である。中国との首脳会談復活で満足してはいけない。米中両国を動かして北朝鮮問題をはじめとする重要問題に対処し、新たな国際秩序の形成に向かわねばならない。日米中の三極提携なしに、21世紀のアジア太平洋は安定しない。
'07.1.8.朝日新聞・防衛大学校長・五百旗頭 真氏
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