散歩道<1489>

                         経済気象台(123)・日本の歩く道

 米国は長きに渡って経常収支を拡大し、海外から借金が累積して、1980年代後半に対外純債務国となった。代って、日本が世界一の債権大国になった。その後米国では、赤字が拡大すればするほど、どっと流入する製品と資金で大きな住宅が建てられ、世界中から買い物をして豊かさを享受した。あらゆる市場は沸き立ち、経済は絶好調だった。片や日本は米国に製品と資金を輸出するため国内消費を抑え、貯蓄にはげみ、豊かさをなかなか実感できずにいる。それでも、日本の債権国としての位置付けは不動である。日米間の不均衡は是正されないどころか、拡大するばかりで20年近く経過した。日本は直接或は間接的に、米国に対してドルで多額の貸付をしている。生活を豊かにする為には心を鬼にして借金の取立てをする、すなわちドルを円に交換して日本にもちかえることが必要である。それが簡単に出来ないのは、円が大きく切りあがり、輸出がもうからなくなるからだ。そこで、日本が自国通貨である円を放棄してドルを使う「円ドル化」が浮上する。輸出代金をドルで受け取ったら、ドルを国内でそのまま使うのである。そうなれば為替レートを気にかけずに済む。大量のドルを抱えた債権者と借金の増加に歯止めはが掛からない債権者がひとつの屋根の下に暮らせば、再建債務関係はチャラになるという解決策である。ドル化した世界では、日本の金融政策は日銀ではなく、FRB(米連邦準備制度理事会)が決定する。経済・金融の分野ばかりでなく、あらゆる政策は米国の視点から立案されるようになる。ドル化した国は案外多い。一番旧い国は1898年のアメリカ領グアム、一番大きい独立国はエクアドルである。日本はどちらの道を行くのだろう。

'07.1.6.朝日新聞