散歩道<1478>

                    経済気象台(119)・新しい資本市場の動き  

 ハイブリット債と称される証券が資本市場で注目を集めだした。この証券は債務と資本の中間、つまり負債と株式の中間的な位置付けの証券である。具体的には劣後債や優先出資証券と呼ばれる証券のことだ。最近日本でも大手スーパや鉄鋼メーカーがハイブリット証券を発行しだした、そもそも欧米の格付け機関が昨年始めたこの証券に関するガイドラインを変更し、この種の証券を従来より高い資本の類似性を認めた結果、欧米市場でハイブリット債務の起債が活発化し始め、これが日本にも伝わってきた為である。この証券の特徴としては、発行期間が超長期で(中には期間の設定がない証券もある)、発行企業が任意に利息支払を繰り延べることが可能なことがある。ハイブリット債務を発行する企業にとってのメリットは、株式の希薄化を避けつつ資本政策の柔軟性が追及でき、株式そのもののように税引き後の利益から配当金を支払わないで、債券同様税引き前の営業収益から利息を支払えるのである。また敵対的買収防衛策としても有効性があると考えられる。一方、投資者側にとっては、通常、ハイブリット債は発行企業の通常の社債格付けから、ある程度、格下げされた格付けになる為、投資利回りの高い運用となるのだ。もちろん株式そのものでないため、キャピタルゲインを狙う商品ではない。以上述べたように、ハイブリット債は発行企業や投資者にとって有利な面があり、日本でも活発に発行されるようになる可能性は大である。しかしながら、現在は一部高格付けの企業が発行し一部の金融機関や企業が投資者となっているが、仮に将来、低格付企業が発行し個人の投資者が保有する時がくれば、発行企業や投資者に対する一層の説明や、証券会社による流動性のある市場育成はことさら重要となろう。

'06.12.8.朝日新聞