散歩道<1476>
経済気象台(115)・日米の宴を支える仕組み
日本にくるたびに、朝食をとりながら意見交換する、20年来の米国人の友人がいる。先日も会ったばかりだが、住宅バブルと言われている今の米国に、1980年代後半における日本のバルブ期の宴のような状況を重ねあわせて話が弾んだ。当時の日本で起った現象が、今の米国に若干姿を変ええ現れている。日本がバブル真っ盛りだった時、私がした話を彼は覚えていた。ある大手銀行の支店長がやって来て「何も言わずに黙ってお金を借りてくれ」と頭を下げた話である。彼は常日頃から、銀行が積極的な融資に走ると貸し倒れが増え、不良債権を抱え込み、健全な銀行経営が難しくなるといっている。その彼にとって、当時私から聞いた話は印象的だったという。翻って今の米国では、すぐに借金が出来るクレジットカードが毎週のようにダイレクトメールで送られてくるそうだ。支店長が頭を下げて借り入れを迫る日本に比べて、米国は米国はカードをばら撒いているのだから、日本以上だな、と一人でつぶやいていた。90年代に入った日本は、高止まりした住宅をさばく為、「ゆとり償還」という仕組みが出来上がった。住宅ローンを返済する時に、はじめの一定期間は負担を軽くするというものだった。最初は借りやすい分、その期間が終ると返済額は大きく膨らむ。そのゆとりの期間が終った98、99年ごろは金融危機が起り、リストラなどが本格化しつつあった。不安定になった収入に対して、返済額が過大になった利用者の中には「ゆとり」どころか、夜逃げせざるを得ないような窮状に陥った人もある。彼は今の米国にも同じようなローンが流行しているという。「インスタント・オンリルー(金利限定)」と呼ばれていて、最初の数年間は元本を返済せずに金利だけを支払う住宅ローンである。日本のようにならなければいいが、と思案顔だった。