散歩道<1475>

                    経済気象台(116)・グローバル・バブル

 景気論議が下火になってきた。国内景気は踊り場を脱して再び回復している。総選挙では自民党が圧勝し、構造改革と景気回復の持続に対する期待感が高まっている。日系平均株価も2001年央以来の高値をつけた。景気認識は、ここ数年の危機モードを脱して、安心モードに代ったといっていい。しかし、私は、その安心を支えているのは、世界規模のバブルではないかという懸念を捨てることが出来ないでいる。バブルの起点は中国だ。中国の国際収支は経常収支も資本収支も黒字である。政府は、人民元安定化のために黒字=ドルを買い続け、その代わり金の人民元を国内に散布している。それが投資ブームと高成長を支えている。中国は又、溜め込んだドルでアメリカ国際や政府機関債を購入し、それが市場最悪の経常赤字をファイナンスしている。それを受けてアメリカでは、金融引締め下でも長期金利が安定し、住宅ブーム(東西両海岸は明らかにバブル)が止まらない。原油高の悪影響が現れないのもそのおかげだ。アメリカは、他方で対外証券投資をふやしている。日本やアジアの株価上昇を支えているのは、アメリカなどの海外投資家だ。つまり、中国が世界の銀行となって本源的資金を創造し、世界の景気や株価を支えているということになる。それがあちこちでバブルを生み、世界経済はバブル拡散の上に立って成長を続けている。このような成長パターンは持続可能なのだろうか。答えは明らかにノーである。中国が人民元改革に踏み切ったこと、アメリカの住宅価格が一部で頭打ちとなっていることは、バブルの環(わ)がほころび始めた兆しだ。バブルがいつか終ることを我々は身をもって知っている。しかし実際に、このグローバル・バブルが終息した後の姿を想像している人は、まだ多くない。そろそろ、「宴の後」に備えるべき時だ。

'05.9.26.朝日新聞