散歩道<1474>

                    経済気象台(115)輸出変調と経済への影響

 この2年間、比較的好調な日本経済を支えた主因は輸出であった。昨年の輸出額は、好調なアジア経済とデジタル製品・部品・産業機械の需要増大によって、対前年比12.2%増と7年ぶりに2桁の伸びとなり、高い企業収益と株価の安定、設備投資の増大をもたらした。輸出や投資が好調なうちに個人消費が高まれば安定した経済成長が期待できるのだが、輸出は1月には対前年同月比3.2%増、2月が同1.7%増と急速に伸びを鈍化させ、景気の先行きに影を投げかけている。輸出鈍化の原因は,第一に主要輸出地域である韓国、台湾などのアジアNIES向け輸出の減少である。特にパソコン部品、半導体、映像、音響機器部品、さらには半導体や液晶を作るための製造・検査装置の減少が大きく響き、世界的なパソコン、携帯電話、テレビなどの需要の鈍化や中国への生産の移転が影響している。第二は中国向けパソコン部品、映像・音響機器部品、自動車輸出の減少で、これは現地生産化が一段と強まったことによるものである。第三がEU向け輸出の現象で、これはEUでは低成長が続き、輸入需要が縮小しているためである。第四はパソコン、携帯電話、テレビ、半導体に関するわが国製品の国際競争力に陰りが見えてきたことである。現在の輸出を支えているのは、堅調な経済が続く米国への自動車、建設機械の輸出や高水準の成長が続く中国への化学製品、鉄鋼、金属加工機械の輸出などだが、前述した要因が地域経済の鈍化や構造変化に基づくものであることから、暫くは低水準の輸出が続くものと予想される。わが国経済を安定成長に導く為には、将来に備えた投資や個人消費を活発化させることが必要であり、また、海外の成長市場の開拓や現地生産・販売の強化、世界的な需要の鈍化に耐え得る競争力の強い製品、ビジネスモデルの開発が寛容である。

'05.3.13.朝日新聞

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