散歩道<1467>

                私の視点・イノベーシヨン異分野融合に重点予算を(1)         (1)〜(2)続く

 安倍政権が「イノベーション」を政策の目玉にしたことで、各省庁もイノベーションを掲げて予算獲得に動いている。だが、真のイノベーションに向けて、日本の科学技術システムと社会経済システムをしなおすよう、政策を変更しなければならない。イノベーションを政策として定義すると、経済学者のシュンペイタが説いたように、「創造的破壊」を伴う「新しい価値の創造」と私は考えている。「科学技術の知識を使って、新しい社会経済的な価値を創造する」ことが、その中核をなす。イノベーションは確率的に起るので、短期的な成果を求める研究では真のイノベーションは起らない。国の役割とは、イノベーションが起りやすい「国の形」を作ることである。安倍政権はイノベーション政策の具体化のため、担当大臣や「イノベーション25特命室」を新設した。科学やイノベーションについての特命事項は、内閣特別顧問に就任した黒川清・前日本学術会議会長が、首相に助言することになった。私が訴えたいイノベーション政策の第一は、源泉になる科学技術の知識を豊富に創造して、活用できるようにすることだ。そのためには、医学と工学ナノテクノロジー(超微細技術)と情報といった、異なる学問分野を融合することである。予算はそういう融合分野に重点的に配分すべきでだ。

'06.12.29.朝日新聞・科学技術振興機構研究開発戦略センター長・生駒俊明氏