散歩道<1468>

                私の視点・イノベーション異分野融合に重点予算を(2)         (1)〜(2)続く

 第二にイノベーションの仕上げは、新しい市場を立ち上げることである。ここには、政府は原則として介入せず、市場に任せるべきである。欧米ではベンチャー企業が重要な担い手だが、日本では既存企業も重要な役割を果たす。政府は経営者がイノベーションを志向できるよう政策を支援すべきだ。第三は研究者と起業家をつなぐ「場」の設定だ。政策を駆使して、異分野の人材をネットワークでつないだり、様々なファンドを連携させたり、地域での産学の連携を強化したりすることが求められる。20世紀は物理学と工学が発達し、多くのイノベーションが誕生した。21世紀は生命科学と工学の融合が本格化する。臨床研究に対する公的資金の投入を増やし、臨床研究期間の充実を急ぐべきだライフサイエンスの基礎研究の成果が、実用化されるまでの機関が大幅に短縮できる。国民は最先端の治療が受けられるようになる。21世紀には情報技術(IT)の発展によって「第三次情報革命」が起るだろう。中身はまだ明確ではないが、イノベーションが起る種がたくさんある。例えば、ITとロボット技術が融合すれば,工場の完全無人化も夢ではなくなる。製造拠点が国内回帰し産業競争力は強化され、新たな研究開発課題も見つかるはずだ。その結果、高度な能力を持つ人材が必要になる。高等教育の再生が鍵となる。高度な人材とITをサービス産業に振り向ければ、更なるイノベーションが期待できるだろう。

'06.12.29.朝日新聞・科学技術振興機構研究開発戦略センター長・生駒俊明氏

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