散歩道<1466>
ディベート経済・今後の経済・国家の役割は?(4) (1)〜(4)続く
ライブドア事件、格差拡大・・・・06年は、国家が何をすべきかを問い直すような経済問題が起きた。この1年を振り返って、経済の分野で国家が何をすべきか考える。
これまで共同体として従業員の心を支える役割が期待された企業が、それを裏切って利潤追求に走っている。その怒りが、格差論争の裏側にある。そして、共同体の再生を希求する思いがある。問題は、単に金銭的な格差をどうするかだけではないのだ。この問題への一つの解答を、安倍政権の路線に見て取ることが出来る。それは、強い国家が共同体の機能を担って人々の心の拠りどころとなる一方で、経済面では自由主義を原則とする方向だ。これは首尾一貫しているが、復古的な国家主義に陥る懸念もある。一方、革新系には、政府による再配分の重要性を協調する論者も多い。しかし、会社共同体の崩壊で高まった国民の不安と不満が議論と化合すると、国家への依頼心を過度に高めることになるのではないか。そうなれば、論者の意図とは裏腹に、昨今の国家主義的な世論の傾向を強める作用を持つだろう。革新系の論点はこの点にもっと注意深くあるべきだ。やはり自然なのは、国家が共同体をおぜん立てするのではなく、民間の中から、あるいは市場の中から自生的に共同体が再生されることだろう。現状ではNPOなどの市民団体や企業福祉の再生に期待するしかない。寄付金税制の充実や企業の育児支援促進などの政策が有効だろう。政府に求められる政策は、自生的な共同体再生が起きる環境を作ることではないだろうか。
'06.12.25.朝日新聞・客員論説委員・小林慶一郎氏
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