散歩道<1465>
ディベート経済・今後の経済・国家の役割は?(3) (1)〜(4)続く
ライブドア事件、格差拡大・・・・06年は、国家が何をすべきかを問い直すような経済問題が起きた。この1年を振り返って、経済の分野で国家が何をすべきか考える。
共同体の自然な再生目指せ セフティーネットの削減は財政再建だけでなく、広く構造改革への反発に転嫁する。改革や財政再建を長期的に勧めるなら、貧困対策や医療弱者の救済への財政支出は、なるべく手厚くし、国民の支持を失わない工夫をすべきだ。又、このような改革への政治的支持をつなぎとめる観点からは、公正な市場ルールつくりと事後チェック機能の拡充も重要だ。今年の論壇に広がりを見せた格差批判は、もう一つ、隠された論点がある。それは日本企業が担ってきた「会社共同体」の機能が失われたことだ。戦後の社会で、伝統的な家族や農村の共同体が縮小する中、人々の心の拠りどころとして共同体の役割を担ったのは企業だった。日本の企業は、現実はどうであれ、終身雇用制や企業福祉に支えられた労働者の共同体というイメージを強く持っていた。日本社会で、企業が労働者を解雇することに非常につよい抵抗があったのも、企業を共同体として捕らえる一般的通念があったからだろう。バブル崩壊後も企業は雇用を守る努力を続けたが、長引く不況が経営を圧迫した結果、90年代末を境に、企業は共同体としての社会的役割を放棄し始めた。終身雇用制は崩れ始め、大規模なリストラや非正規雇用の利用が増えた。
'06.12.25.朝日新聞・客員論説委員・小林慶一郎氏
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