散歩道<1463>
ディベート経済・今後の経済・国家の役割は?(1) (1)〜(4)続く
ライブドア事件、格差拡大・・・・06年は、国家が何をすべきかを問い直すような経済問題が起きた。この1年を振り返って、経済の分野で国家が何をすべきか考える。
格差是正へ積極介入を 日本経済は、02年2月から景気回復が続き、ついに戦後最長のいざなぎ景気を超えたといわれる。しかし、いざなぎ景気の年率11%の高い経済成長率に比べると、今回の景気回復では、2.4%の成長率に留まり、いかにも低空飛行だ。問題は、家系の消費と賃金の回復が弱いことだ。06年の半ば頃には賃金が上昇し、消費が力強く回復するだろう、と筆者も今年初めには考えていたが、予想外に賃金の回復は遅い。景気回復まで企業は高収益をあげているのに、労働者への配分が少なすぎるという不満が高まった。今年、メディアや論壇でクローズアップされた格差問題は、こうした背景からでてきたといえる。格差の実態については、データー上の論争もあるが、日本社会全体に格差感が広がっているのはあきらかだ。この格差感の高まりが、市場主義的な構造改革への大きな反発を生んだ。市場競争が激しくなったから格差が生まれたとする見方は、政府に積極的な格差是正の役割を求める。財政資金の再配分による格差是正という考え方だ。折りしも財政再建のために社会保障関係費が様々な分野で削減されつつある。その結果、医療や生活保護など現場で、悲惨な状況に陥った弱者が生みだされ、格差への怒りを増幅している。政府による格差是正を求める議論は具体的には、政府の歳出増を求める事になる。保守系の政治家などは公共事業の拡大を施行する。公共事業で地方の建設業者を潤し、経済格差を緩和しよう。というバラマキ政治への回帰だ。革新系の論者は、医療、福祉、失業対策など弱者救済のための資金的手当てを手厚くするように求めている。いずれの処方箋も、もし再配分の対象を真の弱者に限定するのでなければ、政府の支出拡大が必至だ。多くの論者は議論を避けているが、その場合、大きな増税が必要になる。
'06.12.25.朝日新聞・客員論説委員・小林慶一郎氏
関連記事:散歩道<567>アスベスト(2)・責任の取り方はあるのか?、<1187>小泉改革で経済どう変わったか・不良債権処理で景気回復(1)、<1188>(2).<1189>(3)、<1251>デイベート経済・「脱デフレ」と残る課題(1)〜(3)
