散歩道<1454>a         

                     政態拝見・大部屋の閣僚た(3)              (1)〜(3)続く
                         「やらせ」で露呈深刻な劣化

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 「やらせ」は「官僚に共通する病理を表しているようだ。この問題の参考にしようと思って
大森彌(わたる)東大名誉教授の近著「官のシステム」を読んだ。日本の官僚制の特徴として、一つの課が一緒の部屋で働く「大部屋主義」をあげている。確かに、多くくの閣僚が個室で執務する欧米のオフイスとは大きな違いだ。大部屋では「局内・課内『常識』があるから、あまり外れた言動を取る職員は『変人』(不適応者)とみなされる。この職場は、配慮と注視という心理的圧力の中にある」という。プラス面は「職員同士の一致団結」だが、負の側面として「お互に問題(不適切な事務処理や不祥事、人間関係のこじれなど)を見て見ぬふりをして問題が外部に漏れないように口をつぐんでいる」と指摘している。TM問題でも、大部屋の官僚たちが、なるだけ波風を立てないように事を運ぼうとした光景が目に浮かぶ。大部屋体質のマイナス面に、江田氏のいう「内向き傾向」も重なって、国を支えてきた閣僚の劣化は深刻だ。ある事務次官のOBの解説を聞いた。「官主導から政治主導」の掛け声ともに、官僚の裁量範囲が狭くなった。マスコミの官僚たたきも続いている。役所の幹部人事も、政治家の意向で左右されるケースが増えた。官僚は政策つくりで撤退しているが、その分を政治家で埋めているわけでもない。空白地帯が広まっている。たとえば、教育問題で官僚は前面に出ようとしない。代って政治家が奔走している様子もみられない。財政再建でも官僚は自民党の顔色をうかがって負担増を口にしない。自民党は、参議院選にらみで増税論を封じている・・・・・。萎縮する官僚と、それにとって代れない政治家の否力。TMでの「やらせ」で見えた政治の空白をどう解決するのか。それこそが、安倍政権が取組むべき大きな課題である。

                                     
'06.11.28.朝日新聞・編集委員・星浩氏