散歩道<1429>

                    経済気象台(107)・販売不振とイノベーション

 企業の収益性や成長性が改善し、設備投資か活発になるとともに、消費が上向き、庶民が好景気を実感する。このような姿が景気上昇の局面の普通の状態だ。しかし、いざなぎ景気を抜くという今回はどうも雰囲気が違う。設備投資は活発であり、消費動向は手堅いということになっている。確かに手堅いかもしれないが消費者の財布のひものゆるみぐあいが少し硬すぎはしないか。景気回復の声とは裏腹に、自動車の販売がその回復とあわないと感じている自動車販売関係者は多いようだ。かっては、自動車販売は景気の選考指標で、景気の本格的回復に先立って販売好調となると言われ、特に外国車や高級車にその傾向が顕著であったが、現在ではこれらの車種も精彩はない。あたかも景気の遅行指標になっているようだ。この辺りを見るならば、景気回復は外需頼みに過ぎず見せかけであるとの説もうなずける。しかし、マクロ経済動向の数字はその説を支持していない。民間最終消費支出は着実に回復している。従って、消費構造のほうが変ったのだと理解した方がよいだろう。自動車販売総数が前年比でマイナスの現在、軽乗用車は何と前年比8%のプラスを示している。経済成長率の実に4倍の成長を遂げていることになる。売れるものはやはり売れているのである。これは欲しいと思わせる何かを発信してる結果だろう。確かにこの安くて小さなクルマによくぞここまで考え尽くしたという魅力的なアイデアが詰め込まれている。だから売れるのである。普通車にもアイデアは詰め込まれているが、現保有車を買い換えるほどまでの魅力に昇華していない。買い増しや買い替えが主となった市場では、プロダクト・イノベーションが鍵なのに、開発者のリストラで戦力がダウンした今ではそれが困難なのだと痛感させる。

'06.11.23.朝日新聞

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