散歩道<1428>a
社説・開戦65年・狂気が国を滅ぼした(2) (1)〜(2)
冷静に考えれば、勝ち目がないことぐらいわかりそうなもんだ。だが、身体を張って「待った」をかける政治家も軍首脳もいなかった。「欧州でドイツが勝てば、日本も有利な講話に持ち込めるだろう」。最後はそんな期待もあって開戦に踏み切った。無責任と言うほかはない。指導者だけではない。昭和史に詳しい作家の半藤一利*1さんは真珠湾の日に人々が何を語り、書いたかを調べたこととがある。「マスコミは戦争をあおり、国民も『やった、やった』と熱狂した」。日本中を「狂気」が覆ったといえよう。硫黄島の守備隊は1ヶ月余りにわたる戦いの末、全滅する。それから沖縄戦、原爆投下と続き、敗戦に至る。あれだけの犠牲があったにもかかわらず、無謀な戦いを止められなかった無力を思うと、「あんなことは絶対に二度と起きない」と言い切ることはできまい。どうすれば、踏みとどまれるのか。狂気に包まれる前に、現実に目を見開くことはできるのか。65年後の今、改めて自問してみるのは意味のあることだ。ともすれば私たちの周囲から戦争の記憶は薄れがちである。だが、あの狂気やその種はこの世界からなくなったわけではない。過ちは今もどこかで繰り返され、戦争の悲惨は続く。そのことを忘れてはならない。
'06.12.9.朝日新聞
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