散歩道<1410>
経済気象台(97)・中国から日本を見れば
「日本は東方にそびえ立つ国だ。多くの中国人は、留学してもっとも知りたくなった」「日本留学は有利だ。近いし安い。日本語は中国語に近くすぐ解かる。洋書は日本人が訳してある。半分の労力で倍の成果が上がる」。今の時代の話のようだが、100年前の話しとして、中国の大学の歴史教科書に書いてある(李侃など箸『中国近代史』による)。当時は日本留学ブームで、毎年倍増し、1906年には1万人に達した。「日本留学生の中から、中国の民主革命運動、立憲運動の指導者が多数生まれた」有名なのは、文人魯迅、郭沫若、中国共産党創設の陳独秀らで、周恩来も日本留学した。孫文が、清朝打倒の準備をしたのも日本だ。中国から日本を見れば、政治・経済・社会制度の近代化が進んだ、改革のモデルだった。ところがその日本が、中国には統治能力がないと決め付け、武力支配しようとした。中国は日本留学組も含めて戦い、勝った。統一後は、分配・平等・集団・労働集約型・閉鎖経済か、公立・自由・個人・資本集約型・開放経済か、経済システムの選択で路線闘争が続き、大変な回り道をした。ケ小平の改革開放でこれが決着し、日中はじめ世界との経済関係を拡大し、急速な経済発展をしているのが現段階だ。そして最近の日本留学ブーム。2001年から03年には、毎年1万人以上増えた。動機は100年前と同じ。だが彼らは、100年間の間の歴史を消化した上で、今、中国の直面する問題について、日本の経験を学びたいのだ。企業当時、地域開発から財政、金融、年金に至るまで、テーマはいくらでもあり、キーワードは「改革」と「格差」で日本と共通だ。未来の中国の指導者らが、今日本を知りに来ている。未来志向と言いつつ過去美化に固執すれば、日本は未来の友を失う。
'05.6.30.朝日新聞
関連記事:散歩道<299>留学生・観光は・異文化尊重を(1)、観光は地球を救う・テロ時代こそ異文化尊重を(2)、<529>大人の日中とは、