散歩道<1406>

                       夕陽妄語(2)2006年11月                  (1)〜(3)続く

 日本の憲法は教基法は憲法と密接である。その前文に「この(憲法)理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」といい、「日本国憲法の精神にのっとり、教育の目的を明示」するという。憲法を根本的に改めれば教基法を改めるのが当然で、教基法を改めるには「憲法の精神」を改めることが含意される。改憲についての何らかの正当な合意がない今日、教基法改定案を強行採決するのは暴挙である。要するに、なし崩し、解釈改憲、軍備増強と自衛隊の活動範囲拡大路線の延長であり、加速である。日本は9・11以後の米国に鼓舞されて右寄りの政策を続けてきた。アジアの諸国、殊に中国と韓国との摩擦はそこから生ずる。教科書問題、歴史問題、首相の靖国神社参拝、領土問題など。まことに米国も日本国も、殊に9・11以後、右寄りの政策をとってきたが、米国では次第に軍国主義批判の声が強まり(たとえば元米国大統領カーターら)、日本では過去のアジア侵略戦争の弁護を含めて右寄りの傾向が強まりつつあった。その状況は、米国先導型の日本の右寄り傾向が日本先導型の軍国化へ転じるのは、時間の問題であるという印象を与えた。2006年11月はそのことを確認する為の一つの判断になったと思われる。右に傾いた米国の舟は左側に戻る。米国に追随して右に傾いた日本の政治には、そのような復元力がない。右へ傾いたままどこまでも行くか、あるいはさらなる米国追随に徹底して方向を修正するか、ということになろう。
 
'06.11.27.朝日新聞・評論家・加藤周一氏

関連記事:散歩道<636>選挙の後に、<1342>夕陽妄語・核兵器3題、
<1747>夕陽妄語・四月馬鹿(1)〜(4)