散歩道<1391>

                 時流自論・いじめという集団の自傷行為(2)           (1)〜(3)続く           ・・・・・・・・世相    

  私はその後姿を見ながら、昨今騒然となっているイジメの正体と出所のすべてがそこに集約されているように感じ入る。イジメ事件が起こると世間の怒りはイジメた側の子に向かう。だがそんな短絡的な問題ではない。「ゴキブリ」と言った子が今度はいつ自分が「ゴキブリ」にされるかもしれないという攻守の堂々巡りの中にあるように、イジメはリストカットと同じ、”子供という集団の自傷行為”なのである。昨日の夜の電車の小学生のように、イジメる側もイジメられる側も、子供たちはその終わりのない競争原理と抑圧の中で疲れきっている。受験管理教育という名の”強制収容所”の密室で喘(あえ)ぎ、心が病み、歪(ゆが)み、イジメ合うことでガスを抜くという自傷行為が繰り返されているということだ。悲惨である。だがその堅固に構造化してしまった教育のあり方を根本的に組みかえない限り、いかなるその場の対症療法を行なってもイジメやイジメ自殺は消えない。もう評論言語は意味をなさない時代に来ているのである。腐った根っこを掘り出し、別の土壌に植え替える抜本治療のみが必要とされる。例えば受験競争のピラミッド構造の頂点にある東大をまず解体し、全体のしばりを緩やかにするという一見暴論に近いような見解も、そのくらい荒治療が必要という意味で拝聴に値する。

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 このやらなければならないが出来そうもない荒治療の一つに携帯電話所持の年齢による線引きも考えられる。例えば、タバコは発育途上に子供の身体に害がある。として20歳で線引きされている。それでは、なぜ発育途上に子供の心を複雑に蝕
(むしば)んでいる携帯電話所持の線引きをしないのか。
 

'06.11.20.朝日新聞・写真家・作家・藤原 新也氏

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