散歩道<1390>
時流自論・いじめという集団の自傷行為(1) (1)〜(3)続く ・・・・・・・・世相
11月初旬のある日の夜10時、JR山手線にのっていた。隣の席に熟帰りらしい小学生が座る。ランドセルからスポーツ飲料とサンドウイッチと「ポックイー」をとりだし、携帯でメールをチェックしながら食べ始めた。形態の画面には「あいつ」「ゴキブリ」という言葉がちらりと見える。小学5、6年生くらいだろう。子供は携帯画面を見終えると,手提げバックからゲーム機を取り出し。一心に両手の指を動かし始める。画面には飛行機の陰が浮遊しており、神経症のようにたたきつける指の動きと連動してビームを発射し、しきりに何か得たいの知れないものを攻撃している。その子の姿に、催眠術のようなピアノ曲がバックに流れる塾産業者のテレビコマーシアルが二重映しになる。テレビのなかの子供たちは異様な静寂の中で鉛筆の音だけを発し、黙々と答案用紙を埋めている。熟の行き帰りは、あたかも何かから追われてでもいるように前のめりの早足で歩く。
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「君ごめんね。さっき携帯、見えてしまったんだけど、あのゴキブリって、何のこと」隣の子は一瞬驚いたように目が泳ぐ。「まあいいや、それで君、毎日この時間に家に帰るの?」ゲーム機を操作しながら、わずかにうなずく。「・・・苦しくない?」ちょっと間をおいて、以外にも吐露するような小さな泣き声が返ってくる。「・・・・・くるしいけど、しかたない」子供はそのまま、足早につぎの駅で降りる。
'06.11.20.朝日新聞・写真家・作家・藤原 新也氏
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