散歩道<1380>

                    経済気象台(92)・元気な経済社会のために

 三つの過剰・・・設備、債務、雇用がほぼ解消して、今日の景気は以前よりはしっかりしてきた。政府でも踊り場脱出宣言が行なわれた。確かに90年代の閉塞感は薄らいできた。素材型産業の企業収益も改善し、設備投資も増加してきている。ただ、先行きの見通しは、原油高、財政難、増税、少子高齢化問題などの不安材料に当面して、誰もが確信をもてない。それに今日の景気論争には,かってのような迫力や熱気が感じられなくなった。800兆円に迫る借金を抱えた政府は、民間で言えば破産状況。これ以上の成長を望めそうもないことを一般の人々は感覚的に理解している。これらの政策運営の舵取りが重要である。景気が回復した今日でも、長期不況の後遺症は続いている。なんとしても今の景気を維持し、企業体力の維持に務めてもらいたいものだ。ところで最近、カナダ・オンタリオ州の役人にアメリカをどう思うか、印象を聞く機会があった。随分昔、同州高官に同じ質問をしたら、微笑しながら「無理難題を押し付けてくる」と、遠慮がちに説明してくれたのを思い出していたら、以外にも「世界の中でアメリカは競争、競争の社会だ。日本も同じだ。競争重視、コストダウンを図る為に従業員の賃金をあまり抑制するのはどうかと思う」という答えが帰ってきた。確かに派遣労働者や期間労働など非正社員の増加が優良企業でさえ目立っている。海外から見ると、日本はそう写っているのかと、改めて認識させられた。長い、暗いトンネルをやっと抜けてきたものの、グローバル競争の下、ますますアメリカ型経済社会になっていく。これでは夢を持ちにくい社会になるのではないか。再就職にチャレンジできる流動的労働市場、成果主義だけでなく従業員の選択肢の多い労務管理など、柔軟な経済社会を形成すべき時代を迎えていると思う。

'05.9.27.朝日新聞