散歩道<1362>
世界の窓・選挙に際し、わが友、米国よ(2) (1)〜(3)続く
圧倒的多数のドイツ人、いや欧州人は、そもそもの最初から反対だった。この戦争は、間違った仮定に基づいてはじまり、希望的観測で読み誤った情報にのっとっており、そして、とりわけ9・11後の「対テロ戦争」と何の関係もなかった。当初の不必要で無益な戦争は、やがて希望のない(勝てない戦争)になった。今では全米の38%しか支持しておらず、シュレーダーの正しさは、その後の事態で立証されたのである。回顧録で彼は明かしている。コリン・パウエル前米国務長官が国連安保理で欠陥だらけのイラク介入案を提唱した時に、シュレーダーはブッシュ政権の戦争を阻止する最後の努力のためにホワイトハウスに少数の高官を派遣した。イラクの領土的統一性が脅かされます、と彼等は進言した。地域の安定も危機に陥るでしょう。強くなったイランは、アラブ・イスラエル紛争の解決を複雑にします。国際テロリズムと闘う同盟は弱まります。戦争はテロリストの暴力増加につながるでしょう。イラクの社会的・政治的状況から、民主主義制度の急速な構築は期待できません。米国は戦争は勝つかもしれませんが、米国民はイラクでの長期間の駐留のコストを受け入れる覚悟があるのでしょうか。戦争勝利だけでは十分ではありません。重要なのは平和を勝ち取ることです。より完全な査察でイラクを武装解除する方が、よい選択ではないでしょうか。
'06.11.8.朝日新聞・独ツァイト紙元編集主幹・テオ・ゾンマー
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