散歩道<1351>
経済気象台(76)・教室の成功を目指す教師
ある世論調査によれば、経済・景気対策が自民党新総裁の期待の筆頭に挙げられているそうだ。経済が国の存立基盤であるから当然の期待である。しかし、新総裁に期待されている経済・景気対策の中身はこれまでの総理・総裁への期待が短期対策であったのとは異なり、長期的な対策であることは明らかだろう。十年の計どころか、五十年、百年の計としての経済対策であり、そのための思想である。その観点では、安倍新総裁の政策に迫力を感じない。実は「美しい国」とは、国民が希望を持って会社や組織を、そして国を革新していく行為の中にあるはずである。そこが「見えていない」のではないか。長期経済不振の要因は、多くが「成功した会社や組織で働くこと」をめざして、会社や組織を成功させること」を目指している人が少ないことにもある。ためしに就職活動中の学生や、転職先を探している人に尋ねてみれば、「成功したところで働くこと」を考えていると解答するであろう。彼等の罪は少ない。多くの親もそして教師自身がその思想にとらわれていて、教育現場にその思想が漂っているからである。グロバル化と技術革新が進み、環境が激変している現代社会にあって、これでは時代遅れである。又「再チャレンジ社会」を阻んでいる要因もそこにある。この点を変える基本方策は、「成功した学校や教室で働くこと」でなく、「学校、教室を成功させるために働く」教師を育て増やすことである。彼等の元では学級崩壊、暴力問題は生じても解決するだろう。それが彼らの本務だからである。そのような教室で学んだ者は、社会の様々な分野で新たな課題にチャレンジし、企業や組織を革新し、社会そのものを革新して、「美しい国」を作り上げていくだろう。これは教育基本法の問題でもある、といったら言い過ぎか。
'06.9.26.朝日新聞
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