散歩道<1346>

                       経済気象台・(71)・大阪文化再生

 大阪・名古屋間を度々往復していると、自然と両都市経済を比較してみるようになる。実感として、現状では名古屋経済に勢いがあり、地域振興という視点からも好循環が続いている。一方、大阪については、商都、自由都市、食文化、お笑いと情の文化など、これまでの強烈なイメージが最近だんだん、かすんできたように思われる。地域振興の手段はおもに好況事業に伴う国からの補助金・助成金に依存するのと、工場誘致が中心であった。名古屋の場合、昨年には万博の開催、空港、高速道路の建設と国家プロジェクトが続き、その上、名古屋へ県外からの本社移転、工場建設、さらに駅周辺では08年までに超拘束ビル群が立ち並ぶ。近くオ-プンのミッドランドスクエア
(豊田毎日ビル)をはじめ、来年の名古屋ルーセントタワーなど駅前の様相は一変し、中部における吸引力をますます強めていくと思われる。もとより勢いの源は、絶好調のトヨタ自動車。すそ野の広い地域の関連企業に予想以上の波及効果をもたらしている。これに対し大阪は、大阪駅北側の大型開発が話題になっているが、これまでの大阪パワーを感じさせるほどではない。全国ブランドとなった吉本興業のお笑いもマンネリ化してきた。大阪の景気は上向きつつあるとしても長期的な勢いがない。このままでは経済力で第2位の都市から転落しかねない。そんな危機感を覚える。名経営者であった故佐治敬三氏(元サントリー)が「大阪の食文化は少しおかしくなってきたねえ」と雑談の中で言われたのをつい昨日のことのように思い出す。都市にはやはり魅力が必要である。大阪は全国の中でも経済、社会、教育と総合的バランスの取れた地域。この際かすんできたホンモノの大阪文化を各分野で再生する運動を地道に展開していくべき時代ではないか。

'06.9.29.朝日新聞

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