散歩道<1335>
保守とは何か・政治にはありえぬ立場(5) (1)〜(5)続く
・・・・占領下で作られた憲法「白地から書く」ような改正が「保守の目標」だと、首相は述べています。
9条2項だけを改正するなら悪くないが、全文を書き直すような改正には反対だ。ある項目では政府案に賛成で、別の点では民主党案に賛成であるという場合、国民が適切に選択できなくなる。憲法を書いた人がアメリカ人であろうが日本人であろうが、それはたいしたことではない。国民がそれを受け入れ、半ば身につけてきた部分は、もう変えられない。
・・・・・自民党は今後、保守に変る新しい政治的な価値を提示できるでしょうか。
わからない。野党がもし農村票を集めることになれば、自民党は都市政党と宣言するかもしれない。相手のあることでもあるのだ。ただ、いずれにせよ、その際の対立は保守・革新とか右・左とかいったものではあるまい。「グロバリゼーションの進行は止められないから、せめてその変化が一部の人々に不幸をもたらさぬよう、影響を和らげる対策を立てる」。それが今、良識ある政治家のやっていることだ。その点では、自民党と民主党間にほとんど対立はない。イデオロギー的な対立軸が消え、対立は「程度の差」をめぐる物に変質した。
・・・・・世界レベルでも対立軸は見当たりませんか。
「近代化」と「近代化以前」との対立が深刻化している。後者には様々なタイプがある。例えば金正日氏の北朝鮮は個人崇拝であり、個人の感性、つまり文化で政治しようとする。イスラム原理主義者も同様で、政教分離を拒んでいる。似た例は、米国のキリスト原理主義者にも見られる。これらはいずれも人類を不幸にすると思う。だから私は政治において、保守主義者ではなく、近代主義者のとらざるを得ない。
'06.10.25.朝日新聞・評論家・劇作家・山崎 正和氏
関連記事:散歩道<178>面白い話・「いき」、<207>日本人の音楽、<449>歌舞伎役者の最大の賛美・でっかい、、<999>講演会・この国の行く先を探る