散歩道<1333>

                    保守とは何か・政治にはありえぬ立場(3)                       (1)〜(5)続く

               「開かれた保守」を強調し、「家族の価値観や地域の温かさが失われた」と嘆く安倍首相。「政治における保守」
              
      「文化における保守」とは何か。文明や歴史を見つめる評論家・劇作家の山崎正和様に聞いた。

・・・・・戦後の自民党に「保守」よりも適切な呼び名を与えるとしたら。何でしょう。
 
「現実対応政党」だろう。自民党は政権を担当しているので、観念的なことは言っていられない。例えば吉田茂(元首相)は戦後の講話に際し、早期独立を果たす為には自由主義に歩調を合わせるしかないと考えた。そうなると次は自主防衛か日米同盟かという選択になり、そこで後者を選んだ。立派な理念で決めたのではなく、それしかないという消去法、つまり現実対応だった。

・・・・山崎さんもしばしば保守派とよばれてきました。冷戦下で自由主義陣営の側にたつことを明言したからだ。今でも社会主義に、いささかも「同情はない。ただし先  ほど言ったとおり、そのことは本来、政治的な保守とは全く関係ない。文化の面では、どちらかと言えば保守的な人間だと思っているが。

「愛国心」は革新の主張
・・・・・安倍首相は自身を「保守派と定義していますが、その中身をどう見ますか。

 冷戦下の「保守・革新」という構図や農村に基盤を置いた過去の自民党、そういったものと「血のつながり」を持っている。そういう単純なことだろう。「冷戦下で戦った祖父と父」が目標なのだから、彼には自分を保守だと錯覚する十分な理由がある。

'06.10.25.朝日新聞・評論家・劇作家・山崎 正和氏

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