散歩道<1331>

                    保守とは何か・政治にはありえぬ立場(1)                                (1)〜(5)続く

         「開かれた保守」を強調し、「家族の価値観や地域の温かさが失われた」と嘆く安倍首相。「政治における保守」
                    「文化における保守」とは何か。文明や歴史を見つめる評論家・劇作家の山崎正和様に聞いた。


文化の領域にだけ存在 
・・・・・そもそも政治における保守とはなんでしょう。
 
近代社会には、「政治的な保守」と言うものは存在しないし、存在しえない。私はそう考えている。もし保守というものが成立するとしたらそれは広い意味での「文化」の領域に限られるだろう。言葉や宗教、生活上の習慣、美的な趣味・・・。そういう分野では保守という立場がありうる。文化とは身についた生活スタイルだ。頭と体に分けて言えば、文化は主として身体にまつわる営みなのだ。例えば左手で茶碗を持ち、右手では箸を持つ作法。これはもはや私の身についているので、容易には変えられない。政治も近代以前には文化と結びついていた。だが近代化により、政治は文化と区別された。信仰や人格、気分など、統治者の身についた文化が規範になる政治から、指導者が国民との契約や法に従って合理的に行動することを前提にした政治への移行だ。聖教分離の原則は、こうした「政治と文化の区別」を象徴している。以降、政治は身体ではなく頭の仕事、つまり理性の仕事になった。そこには保守はありえない

'06.10.25.朝日新聞・評論家・劇作家・山崎 正和氏

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備考:山崎正和様が18年度文化功労者に選ばれた。おめでとうございます。!