散歩道<1313>

                世界の窓・権力を抑止する「徳」が必要(2)         (1)〜(3)続く

 近代中国を代表する作家魯迅(ろじん)もまた中国の民衆の立場からものを言った。魯迅は日本語による随筆「現代支邦における孔子さま」の中で、次のようにいっている。なるほど孔子様は大変な国を治める方法を考察した。しかしそれは皆民衆を治めるもの、すなわち権力者達の為の考案で民衆其(その)物の為に工夫したことが一向ない。今日、中国とインドは世界の注目を集め、フランスの新聞ルモンドは、シンディア(フランス語のシン(中国)とインドの合成語)という表題の社説を載せたほどだ。確かに中印両国の発展はめざましく、両国の関係も大きく改善している。しかし、それは正に中印両国の「経済的成功」という名の下での結果にすぎない。タゴールの先の言葉のように両国は今「成功という名の成果」を誇っている。しかし、「経済的成功」を超えてこれら両国は、いかなる「精神」を体現し、またお互いに共有しているのであろうか。

'06.10.18.朝日新聞・国際交流基金理事長・小倉和夫氏

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