散歩道<1312>
世界の窓・権力を抑止する「徳」が必要(1) (1)〜(3)続く
アジア人で初めてノーベル文学賞を受賞したインドの詩人タゴール。タゴールは1910年から20年代にかけて4回訪日したが、その著作「日本紀行」の中で、日本は国民的利己主義を超えた高邁(こうまい)な理念を欠いている。日本の「金庫に集められた一番大事なものは成功という名の成果である」と批判した。ほぼ同じころ、中国革命の父孫文はも、日本人は文明の核にあるものは物質文明の利便であると考えていると批判し、日本が採り入れるべき欧米文明の核心は、技術にあるのではなく、じつは、民権思想であるといい、その上で日本は帝国主義的アジア進出という「覇権の道をとらずに民権思想に基づくアジアの精神、すなわち「王道」を持って植民地主義を打破すべしと唱えた。こうした民権思想は、やや違った形でインドネールによっても受け継がれた。ネールはその著「インドの発見」の中で、経済的、社会的発展が大切と言うのなら英国のインド支配以上に日本の満州占領や韓国統治は実を上げてきた、しかし、問題は、人民の権利がどこまで尊重されてきたかである、と主張した。
'06.10.18.朝日新聞・国際交流基金理事長・小倉 和夫氏
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