散歩道<1294>

               海外メディア・深読み(3)深まるイラク危機            (1)〜(3)続く

楽観論覆した米機密報告書
 欧米でも中東でも、どうすればイラクでの最悪の事態をさけることが出来るかに焦点は移っているようだ。米ワシントン・ポスト紙は2日付けで「批判の応酬の裏で、3年間の米国のイラク戦略についての最も深刻な議論が出現している」と書く。議論の中心は「米国がイラクの現マリキ政権に任し続けるか、又は何らかの介入を行い、現体制に必要な処置を強いるかだ」と続ける。その上で、民主党のバイデン上院議員が打出した「国際的な枠組に基づいた外部からの政治介入で、イラクの政治指導者に解決策を強いる」方式を試みるべきだ、と提案している。国際的な枠組みは、「北大西洋条約機構(NATO)加盟国、国連安保理メンバー、イラクの周辺国」である。5日の英タイムス紙には、ロンドン大学のイラク専門家の「イラク最後の解決策」という論文が掲載された。イラクの現在の主権を一時的に国際社会に移し、国連が欧州連合の全面的な支援を受けてイラク国内政治勢力の和平協議を主導し、新体制づくりに責任を持つ」というものだ。その枠内の中で、米軍の撤退と反米勢力の政治参加も実施される。99年に国連暫定統治機構が置かれたコソボ自治州を想定しているという。「イラクが内戦になれば、世界的な問題だ。特にイラクは米国よりも欧州に近い」とし、イラクへの介入を拒否してきたフランスにも態度変更を求める。ただし、このプロスではまず「米英がイラク政策の失敗を認めて、国際社会の大がかりな支援の必要性を認識すること」が必要としている。

'06.10.11.朝日新聞・編集委員・川上泰徳氏